当サイトではJavaScriptを使用しております。 JavaScriptをONにして再読み込みを行ってください。
このページの本文へ移動
横浜美術館コレクション検索
English
コレクション検索TOPへ
厚紙や木片、紐などを版として紙に摺する「マルチブロック」という独自の技法が使われています。それはいわば「彫らない版画」であり、彫った版を紙に摺るそれまでの木版画を根底からくつがえす方法でした。版の材質感のちがいや、版をずらすことで生まれたインクの複雑な表情と色の重なりが、画面にリズムを与えています。恩地は戦後、おもに6つのシリーズに並行して取り組むことで、抽象的な表現をおし進めました。なかでも「Lyric」（抒情じょじょうの意）は、彼の心のありようを直接的に表したシリーズでした。画面のなかに浮かぶ抽象的なかたちや線には、敗戦後の絶望や不安、希望が入り混じった複雑な心情が映しだされているかのようです。（片多祐子）
Page Top
厚紙や木片、紐などを版として紙に摺る「マルチブロック」という独自の技法が使われています。それはいわば「彫らない版画」であり、彫った版を紙に摺るそれまでの木版画を根底からくつがえす方法でした。版の材質感のちがいや、版をずらすことで生まれたインクの複雑な表情と色の重なりが、画面にリズムを与えています。恩地は戦後、おもに6つのシリーズに並行して取り組むことで、抽象的な表現をおし進めました。なかでも「Lyric」（抒情の意）は、彼の心のありようを直接的に表したシリーズでした。画面のなかに浮かぶ抽象的なかたちや線には、敗戦後の絶望や不安、希望が入り混じった複雑な心情が映しだされているかのようです。
（片多祐子）