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斜面にかさなる樹々に、雨が降りそそいでいます。土や葉の色を溶かしこんだように、薄茶と緑にゆらめく細かな線。ところどころの幹に置かれた濃こい茶ちゃが、雨のむこうに事物がけぶって見える様子を思わせます。線のヴェールがおおう画面から、しずかな雨音が響いてくるようです。 横山大観よこやまたいかんや菱田春草ひしだしゅんそうは、線ではなく、色や墨のにじみによって、雨にゆらぐ大気を描写しようとしました。その実践に直じかにふれ、彼らとともに新しい日本画を拓ひらこうとしながらも、紫紅は絵画がひとつの方式に凝こり固かたまってしまうことに頑として抵抗し、旧ふるい伝統にも敬意と愛着を抱きつづけました。ふたたび線として現れたこの絵の雨も、そんな画家の挑戦に数えられるでしょう。(坂本恭子)
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斜面にかさなる樹々に、雨が降りそそいでいます。土や葉の色を溶かしこんだように、薄茶と緑にゆらめく細かな線。ところどころの幹に置かれた濃茶が、雨のむこうに事物がけぶって見える様子を思わせます。線のヴェールがおおう画面から、しずかな雨音が響いてくるようです。
横山大観や菱田春草は、線ではなく、色や墨のにじみによって、雨にゆらぐ大気を描写しようとしました。その実践に直にふれ、彼らとともに新しい日本画を拓こうとしながらも、紫紅は絵画がひとつの方式に凝り固まってしまうことに頑として抵抗し、旧い伝統にも敬意と愛着を抱きつづけました。ふたたび線として現れたこの絵の雨も、そんな画家の挑戦に数えられるでしょう。
(坂本恭子)