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『伊勢物語』の第十四段「くたかけ」の一場面。在原業平ありわらのなりひらとされる「男」が、陸奥国むつのくにで出会った女性と一夜を過ごし、田舎じみた女性を皮肉る歌を残して夜明け前に去ってしまいます。女性はその皮肉にも気づかず、「くたかけ(鶏の古名)が鳴いたから、朝だと思って恋人が帰った」と嘆きます。雞村は若い頃、粉本ふんぽん(古典的な画題や筆法を習うための手本)を模写する伝統的な方法で絵画を学びました。この絵にもその成果があらわれていますが、屋敷の庭の植物などの典型的な描写を省き、すっきりした構図で人物を引き立てています。双幅そうふくの形式が、屋敷の内と外の隔たりのみならず、通い合うことのない男女の心の距離をあらわしているようにも見えます。 (内山淳子)
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『伊勢物語』の第十四段「くたかけ」の一場面。在原業平とされる「男」が、陸奥国で出会った女性と一夜を過ごし、田舎じみた女性を皮肉る歌を残して夜明け前に去ってしまいます。女性はその皮肉にも気づかず、「くたかけ(鶏の古名)が鳴いたから、朝だと思って恋人が帰った」と嘆きます。雞村は若い頃、粉本(古典的な画題や筆法を習うための手本)を模写する伝統的な方法で絵画を学びました。この絵にもその成果があらわれていますが、屋敷の庭の植物などの典型的な描写を省き、すっきりした構図で人物を引き立てています。双幅の形式が、屋敷の内と外の隔たりのみならず、通い合うことのない男女の心の距離をあらわしているようにも見えます。
(内山淳子)