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終戦の3か月後に描いた自画像。「罹り災者さいしゃで生活一変の暗い日常ながら、戦い、図らずも死を脱した25才の混沌こんとんの前後に何か屈折した、しかし強烈な光も感じ得た青春」の一枚と、画家はのちに語っています。20代の兵藤は繰り返し自画像を描き、鏡に映る姿を思うように表せない苦しみを、「パン食い競争でパンが上手く口に入らず、イライラする気持ち」と記しました。そして約60年後、この青年の隣に年老いた画家が並ぶ《二重像 ― 八十三歳自画像 終戦直後の港の丘に立つ》を描きました。そこには晩年の画境に安住せず、もがきながら答えを掴つかもうとしていた若き日の情熱に立ち返ろうとする、凄烈せいれつな意志が見て取れます。(内山淳子)
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終戦の3か月後に描いた自画像。「罹災者で生活一変の暗い日常ながら、戦い、図らずも死を脱した25才の混沌の前後に何か屈折した、しかし強烈な光も感じ得た青春」の一枚と、画家はのちに語っています。20代の兵藤は繰り返し自画像を描き、鏡に映る姿を思うように表せない苦しみを、「パン食い競争でパンが上手く口に入らず、イライラする気持ち」と記しました。そして約60年後、この青年の隣に年老いた画家が並ぶ《二重像 ― 八十三歳自画像 終戦直後の港の丘に立つ》を描きました。そこには晩年の画境に安住せず、もがきながら答えを掴もうとしていた若き日の情熱に立ち返ろうとする、凄烈な意志が見て取れます。
(内山淳子)