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うっすらと夕日が残る昼と夜の境目。空の上からは青みを帯びた闇が迫り、くっきりと輪郭りんかくをあらわし始めた月が、夜の訪れを告げます。埋め立てが進む前、横浜の生麦周辺には、佃煮つくだにになる貝をむき身にして生計を立てる家が多くありました。地面に山積みになった貝殻かいがらから、この作品にみえる煙突のある建物も、貝のむき身工場であることがわかります。空や水の鮮やかな藍色あいいろや、近景を大きく捉えて遠景と対比する構図は、江戸の浮世絵の伝統を引き継いだものです。しかし、いわゆる「名所」を描かず、身近な下町の何気ない風景に向けた視線に、作者の、ささやかで平穏な日常への愛着を感じ取ることができます。(日比野民蓉)
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うっすらと夕日が残る昼と夜の境目。空の上からは青みを帯びた闇が迫り、くっきりと輪郭をあらわし始めた月が、夜の訪れを告げます。埋め立てが進む前、横浜の生麦周辺には、佃煮になる貝をむき身にして生計を立てる家が多くありました。地面に山積みになった貝殻から、この作品にみえる煙突のある建物も、貝のむき身工場であることがわかります。空や水の鮮やかな藍色や、近景を大きく捉えて遠景と対比する構図は、江戸の浮世絵の伝統を引き継いだものです。しかし、いわゆる「名所」を描かず、身近な下町の何気ない風景に向けた視線に、作者の、ささやかで平穏な日常への愛着を感じ取ることができます。
(日比野民蓉)