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「あれ嫌やだ、けむったいねぇ…」眉まゆ根ねを寄せて目を細め、唇を結んだ表情が、そんな呟つぶやきを連想させます。蚊か遣やりと思おぼしき煙の描写も絶品。なめらかな線の魅力はもちろん、きものの藍あい、帯の黒、団扇うちわの源げん氏じ香こうの朱の色味を変化させ、煙の濃い場所・薄い場所を描き分ける凝こりようです。この微細な表現が、板を彫り、そこに絵の具をのせて摺することで生まれたのですから、まさに驚嘆きょうたん。女性の髪の毛の一本一本も注目のしどころです。「風俗三十二相」は、姿・ありさまを意味する「相」に、「~(し)そう」の音をかさね、種々の時代や階層の女性の装い、振る舞いを描いたシリーズ。芳年はここでなんと、生まれる前の享和年間(1801~04年)にまで遡さかのぼっています。(坂本恭子)
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「あれ嫌だ、けむったいねぇ…」眉根を寄せて目を細め、唇を結んだ表情が、そんな呟きを連想させます。蚊遣と思しき煙の描写も絶品。なめらかな線の魅力はもちろん、きものの藍、帯の黒、団扇の源氏香の朱の色味を変化させ、煙の濃い場所・薄い場所を描き分ける凝りようです。この微細な表現が、板を彫り、そこに絵の具をのせて摺ることで生まれたのですから、まさに驚嘆。女性の髪の毛の一本一本も注目のしどころです。
「風俗三十二相」は、姿・ありさまを意味する「相」に、「~(し)そう」の音をかさね、種々の時代や階層の女性の装い、振る舞いを描いたシリーズ。芳年はここでなんと、生まれる前の享和年間(1801~04年)にまで遡っています。
(坂本恭子)