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紫紅はこの翌年に満35歳の若さで急きゅう逝せいしますが、この年は病を押して活発に創作しました。これは、前年、東海道五十三次の合作を制作するため旅したことをきっかけに、街道沿いの地に取材した作の一つ。潮見坂は白しら須す賀かの宿しゅく、現・静岡県湖こ西さい市しにあります。歌川広重うたがわひろしげは、峠の上から遠えん州しゅう灘なだを一望できる景けい勝しょう地ちとして海を見下ろす視点から描いて浮世絵にしました。けれども紫紅は、海の側から坂を見上げ、縦長の画面に遠近法によらないジグザクに続く帯のように坂道を描いています。色数を限ったことで坂道のユーモラスな形が引き立っています。従来の画題をとらえなおした意欲作で、盟友めいゆうだった画家・安やす田だ靫彦ゆきひこが持っていた作品です。(八柳サエ)
「じっくりみる この一点 今村 紫紅 《潮見坂》」(動画 2023年6月) 横浜美術館のコレクションを、解説をあえて加えず、細部のクローズアップや、さまざまな角度からとらえた映像でご紹介します。
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紫紅はこの翌年に満35歳の若さで急逝しますが、この年は病を押して活発に創作しました。これは、前年、東海道五十三次の合作を制作するため旅したことをきっかけに、街道沿いの地に取材した作の一つ。潮見坂は白須賀の宿、現・静岡県湖西市にあります。歌川広重は、峠の上から遠州灘を一望できる景勝地として海を見下ろす視点から描いて浮世絵にしました。けれども紫紅は、海の側から坂を見上げ、縦長の画面に遠近法によらないジグザクに続く帯のように坂道を描いています。色数を限ったことで坂道のユーモラスな形が引き立っています。従来の画題をとらえなおした意欲作で、盟友だった画家・安田靫彦が持っていた作品です。
(八柳サエ)