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同門の画家・伊い東深水とうしんすいの風景版画に感動した川瀬巴水。浮世絵の伝統を継いで、絵え師し・彫ほり師し・摺すり師しの協働体制の復興を目ざす版元・渡邊わたなべ庄三郎しょうざぶろうと出逢い、木版画の絵師の道を歩みはじめます。1919年の夏から21年の春にかけて制作された「東京十二題」は、その地ち歩ほを固めた連作です。東京生まれ東京育ちの絵師ならばこそ、の伸びやかな感性は、「江戸」の人びとの生活や文化への尽きせぬ愛惜あいせきを織り込みながら、いわゆる「名所」にとらわれない清新な十二景を生み出しました。
1914年架か設せつの白鬚橋しらひげばしのたもとから、隅田川越しに橋はし場ばと今いま戸どを望んだ景。芭蕉ばしょうの風流を気取って大雪のなか向島むこうじま百花園ひゃっかえんをめざした途上の成果と、巴水は得々と記しています。
(坂本恭子)
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同門の画家・伊東深水の風景版画に感動した川瀬巴水。浮世絵の伝統を継いで、絵師・彫師・摺師の協働体制の復興を目ざす版元・渡邊庄三郎と出逢い、木版画の絵師の道を歩みはじめます。1919年の夏から21年の春にかけて制作された「東京十二題」は、その地歩を固めた連作です。東京生まれ東京育ちの絵師ならばこそ、の伸びやかな感性は、「江戸」の人びとの生活や文化への尽きせぬ愛惜を織り込みながら、いわゆる「名所」にとらわれない清新な十二景を生み出しました。
1914年架設の白鬚橋のたもとから、隅田川越しに橋場と今戸を望んだ景。芭蕉の風流を気取って大雪のなか向島百花園をめざした途上の成果と、巴水は得々と記しています。
(坂本恭子)
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