当サイトではJavaScriptを使用しております。 JavaScriptをONにして再読み込みを行ってください。
このページの本文へ移動
横浜美術館コレクション検索
English
コレクション検索TOPへ
雲が走り、大地に映る影もゆらめき、植物はぐんぐん伸びてゆく。定点観測した映像を早送りしているような疾走感しっそうかんがありませんか? タイトルの言葉がこの印象をさらに強めているようです。「けもの」を人間をふくむ動物すべてを指すと考えるなら、次つぎと滅びる「けものたち」を尻しり目めに建造物や植物は生き残り、しかしそれらも遠い未来にむかってやがては風化してゆく――そんな長大な時間が封じ込められた作品に思えてきます。ぐっと近接して見ると、淡い色面しきめんはこまかい線でできています。お手製のバレンでベニヤの粗あらい目を摺すりとった、このかすれたような絵肌マチエールこそ、由木の作品に、流れる「時」の感覚とそれゆえの寂寥感せきりょうかんをもたらしています。(坂本恭子)
Page Top
雲が走り、大地に映る影もゆらめき、植物はぐんぐん伸びてゆく。定点観測した映像を早送りしているような疾走感がありませんか? タイトルの言葉がこの印象をさらに強めているようです。
「けもの」を人間をふくむ動物すべてを指すと考えるなら、次つぎと滅びる「けものたち」を尻目に建造物や植物は生き残り、しかしそれらも遠い未来にむかってやがては風化してゆく――そんな長大な時間が封じ込められた作品に思えてきます。ぐっと近接して見ると、淡い色面はこまかい線でできています。お手製のバレンでベニヤの粗い目を摺りとった、このかすれたような絵肌こそ、由木の作品に、流れる「時」の感覚とそれゆえの寂寥感をもたらしています。
(坂本恭子)