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1916年に35歳の若さで世を去った日本画家・今村紫紅の仕事は、テーマの特質に照らして、ふたつの時期に大別できます。すなわち、主に歴史上の人物や物語に取材して多くの作品をのこした明治期と、西洋の技法も取り入れるなど風景画の新たな表現に取り組んだ大正期です。この作品は、前者の時期に位置づけられる歴史人物画で、描かれているのは、平安末期から鎌倉初期の真言宗しんごんしゅうの僧、文覚上人もんがくしょうにんです。後ご白河法皇しらかわほうおうに寄付を強要して怒りをかい伊豆に流された際に、たまたま源頼朝みなもとのよりともと出会い、平家を討つよう促したとされる僧です。手に金剛鈴こんごうれいと数じゅ珠ずを持ち岩の上にすわる文覚の姿は、『平家物語』巻第五「文覚荒行あらぎょう」のエピソードに取材しているのでしょう。(柏木智雄)
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1916年に35歳の若さで世を去った日本画家・今村紫紅の仕事は、テーマの特質に照らして、ふたつの時期に大別できます。すなわち、主に歴史上の人物や物語に取材して多くの作品をのこした明治期と、西洋の技法も取り入れるなど風景画の新たな表現に取り組んだ大正期です。
この作品は、前者の時期に位置づけられる歴史人物画で、描かれているのは、平安末期から鎌倉初期の真言宗の僧、文覚上人です。後白河法皇に寄付を強要して怒りをかい伊豆に流された際に、たまたま源頼朝と出会い、平家を討つよう促したとされる僧です。手に金剛鈴と数珠を持ち岩の上にすわる文覚の姿は、『平家物語』巻第五「文覚荒行」のエピソードに取材しているのでしょう。
(柏木智雄)