生麦の夕 画像 拡大する

なまむぎ の ゆうべ生麦の夕

作家名
イシワタ コウイツ 石渡 江逸
作家英名
ISHIWATA, Koitsu 
生年
1897年
没年
1987年
制作年
1931年(昭和6年) 
技法、材質、形状
木版 
縦(高) × 横(幅) × 奥行(厚)
36.3 x 24.0 cm 
受入種別
購入 
分野名
版画(日本作家) 
収蔵品番号
85-PRJ-002 

うっすらと夕日が残る昼と夜の境目。空の上からは青みを帯びた闇が迫り、くっきりと輪郭りんかくをあらわし始めた月が、夜の訪れを告げます。埋め立てが進む前、横浜の生麦周辺には、佃煮つくだにになる貝をむき身にして生計を立てる家が多くありました。地面に山積みになった貝殻かいがらから、この作品にみえる煙突のある建物も、貝のむき身工場であることがわかります。空や水の鮮やかな藍色あいいろや、近景を大きく捉えて遠景と対比する構図は、江戸の浮世絵の伝統を引き継いだものです。しかし、いわゆる「名所」を描かず、身近な下町の何気ない風景に向けた視線に、作者の、ささやかで平穏な日常への愛着を感じ取ることができます。
(日比野民蓉)

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