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明治時代に女性洋画家の草分けのひとりとなった渡辺幽香が、シカゴの万国博覧会(1893年)に出品した作品です。石臼を引きずりながらトンボをつかまえる、たくましい赤ん坊。豊臣秀吉に仕えた武将で、力持ちで知られた福島正則ふくしままさのりの幼い頃のエピソードを描いたとされます。明治維新を経て近代国家の仲間入りをした「強国日本」の存在を、万博という場で世界に印象づけることを意図したのでしょうか。一方、そうした制作意図には想像が及ばない観客にとっても、まるまるとした元気な赤ん坊の姿は万国共通で親しみ深く、魅力的なモチーフだったに違いありません。開港地・横浜で絵画を学んだ幽香ならではの、国際的な着眼点が見てとれます。(内山淳子)
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明治時代に女性洋画家の草分けのひとりとなった渡辺幽香が、シカゴの万国博覧会(1893年)に出品した作品です。石臼を引きずりながらトンボをつかまえる、たくましい赤ん坊。豊臣秀吉に仕えた武将で、力持ちで知られた福島正則の幼い頃のエピソードを描いたとされます。明治維新を経て近代国家の仲間入りをした「強国日本」の存在を、万博という場で世界に印象づけることを意図したのでしょうか。一方、そうした制作意図には想像が及ばない観客にとっても、まるまるとした元気な赤ん坊の姿は万国共通で親しみ深く、魅力的なモチーフだったに違いありません。開港地・横浜で絵画を学んだ幽香ならではの、国際的な着眼点が見てとれます。
(内山淳子)