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平安時代の公卿くぎょう(位の高い官職にある貴族)・藤原成通ふじわらのなりみち。蹴け鞠まりの達人で、「鞠聖きくせい」と称されました。これは成通の日記に基づく有名な場面。ある夜、三人の鞠まりの精せいがあらわれ、蹴鞠の練習に日々励む成通をたたえたというのです。日記には、人の顔に猿の手足を持った子どもの姿をしていたとありますが、紫紅は愛らしい子猿そのものに描いています。抑揚のある柔らかい線、淡い色彩、成通と子猿の何とも絶妙な距離感を伝える余白も生きています。成通の優しい表情に対し、子猿たちはとても神妙な表情です。この簡潔でおおらかな形とほのぼのとした風情こそは、紫紅の絵画の真骨頂しんこっちょう。三匹目を描かずにその登場を予感させる構図の工夫にも、唸うならされます。(内山淳子)
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平安時代の公卿(位の高い官職にある貴族)・藤原成通。蹴鞠の達人で、「鞠聖」と称されました。これは成通の日記に基づく有名な場面。ある夜、三人の鞠の精があらわれ、蹴鞠の練習に日々励む成通をたたえたというのです。日記には、人の顔に猿の手足を持った子どもの姿をしていたとありますが、紫紅は愛らしい子猿そのものに描いています。抑揚のある柔らかい線、淡い色彩、成通と子猿の何とも絶妙な距離感を伝える余白も生きています。成通の優しい表情に対し、子猿たちはとても神妙な表情です。この簡潔でおおらかな形とほのぼのとした風情こそは、紫紅の絵画の真骨頂。三匹目を描かずにその登場を予感させる構図の工夫にも、唸らされます。
(内山淳子)