鞠聖図 画像 拡大する

きくせい ず鞠聖図

作家名
イマムラ シコウ 今村 紫紅
作家英名
IMAMURA, Shiko 
生年
1880年
没年
1916年
制作年
1911年(明治44年) 
技法、材質、形状
紙本着色、二曲屏風一隻 
縦(高) × 横(幅) × 奥行(厚)
147.4 x 145.6 cm 
受入種別
購入 
分野名
日本画 
収蔵品番号
89-JP-002 

平安時代の公卿くぎょう(位の高い官職にある貴族)・藤原成通ふじわらのなりみちまりの達人で、「鞠聖きくせい」と称されました。これは成通の日記に基づく有名な場面。ある夜、三人のまりせいがあらわれ、蹴鞠の練習に日々励む成通をたたえたというのです。日記には、人の顔に猿の手足を持った子どもの姿をしていたとありますが、紫紅は愛らしい子猿そのものに描いています。抑揚のある柔らかい線、淡い色彩、成通と子猿の何とも絶妙な距離感を伝える余白も生きています。成通の優しい表情に対し、子猿たちはとても神妙な表情です。この簡潔でおおらかな形とほのぼのとした風情こそは、紫紅の絵画の真骨頂しんこっちょう。三匹目を描かずにその登場を予感させる構図の工夫にも、うならされます。
(内山淳子)

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