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寝間着姿で鎧よろいを手に取る静御前しずかごぜん。視線は鎧よろいと反対に向けられ、何か気がかりな様子です。それもそのはず、愛する源義経みなもとのよしつねが襲われる気配を察知し、夜中に寝床から出て、戦いに備えようとしているのです。このとき義経は、のちに鎌倉幕府を開く兄・源頼朝みなもとのよりともから反逆の疑いをかけられ、刺客しかくに襲われます。しかし、静の機転に助けられて、一命を取りとめることができました。明治時代、日本という新しい国を一人前の近代国家に格上げするため、西洋にならって、国の歴史を絵に描く「歴史画」が流行しました。その主役のほとんどが男性ですが、この作品は、美しく描かれた女性を愛めでる「美人画」の要素と「歴史画」が融合したものと考えることができます。(日比野民蓉)
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寝間着姿で鎧を手に取る静御前。視線は鎧と反対に向けられ、何か気がかりな様子です。それもそのはず、愛する源義経が襲われる気配を察知し、夜中に寝床から出て、戦いに備えようとしているのです。このとき義経は、のちに鎌倉幕府を開く兄・源頼朝から反逆の疑いをかけられ、刺客に襲われます。しかし、静の機転に助けられて、一命を取りとめることができました。明治時代、日本という新しい国を一人前の近代国家に格上げするため、西洋にならって、国の歴史を絵に描く「歴史画」が流行しました。その主役のほとんどが男性ですが、この作品は、美しく描かれた女性を愛でる「美人画」の要素と「歴史画」が融合したものと考えることができます。
(日比野民蓉)