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描かれているのは、清方がその世界観に魅せられた泉いずみ鏡花きょうかの小説『通夜つや物語』に登場する遊女。遊女と若く貧しい画家の悲恋物語で、意地と矜持きょうじを貫いた遊女が自死することで、互いの愛を永遠なものにする、という結末が待っています。しかしこの絵では、物語の説明的な要素は描かれません。背景は、画面の絹の裏から金箔を貼る「裏箔うらはく」の技法で作られています。鈍く柔らかい光をたたえた空間に、流れるような曲線で遊女の姿が対角線上に大きく描かれ、鮮烈な美しさが際立ちます。まなざしは虚うつろでありながら、見る人をゾクッとさせる凄すごみを感じさせます。見た目の美しさだけではなく人の心の機微を描いた、清方芸術の真髄しんずいといえる作品です。(内山淳子)
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描かれているのは、清方がその世界観に魅せられた泉鏡花の小説『通夜物語』に登場する遊女。遊女と若く貧しい画家の悲恋物語で、意地と矜持を貫いた遊女が自死することで、互いの愛を永遠なものにする、という結末が待っています。しかしこの絵では、物語の説明的な要素は描かれません。背景は、画面の絹の裏から金箔を貼る「裏箔」の技法で作られています。鈍く柔らかい光をたたえた空間に、流れるような曲線で遊女の姿が対角線上に大きく描かれ、鮮烈な美しさが際立ちます。まなざしは虚ろでありながら、見る人をゾクッとさせる凄みを感じさせます。見た目の美しさだけではなく人の心の機微を描いた、清方芸術の真髄といえる作品です。
(内山淳子)