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19世紀後半のフランスで活躍したローランスは、中世の政治・宗教上の事件に取材した迫真的な歴史画を得意としました。この作品もそのひとつ。アーチをあしらった掛物かけものを背にした玉座ぎょくざに王の姿はなく、王冠だけが薄明りに冷たく輝いています。右側には豪華ごうかなローブをまとった若い女性がひとり。彼女は椅子にもたれかかり、陰になった顔から青い瞳だけが虚空こくうをじっと見つめています。夜明けの不穏な雰囲気。この絵が描かれた当時のフランスは、共和派と王朝派が争う政情不安に見舞われていました。人物の巧みな心理描写と中世写本を元にした舞台装置、光と影の演出によって、画家は歴史を見つめ直そうとする当時の社会の要請に応えようとしています。(中村尚明)
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19世紀後半のフランスで活躍したローランスは、中世の政治・宗教上の事件に取材した迫真的な歴史画を得意としました。この作品もそのひとつ。アーチをあしらった掛物を背にした玉座に王の姿はなく、王冠だけが薄明りに冷たく輝いています。右側には豪華なローブをまとった若い女性がひとり。彼女は椅子にもたれかかり、陰になった顔から青い瞳だけが虚空をじっと見つめています。夜明けの不穏な雰囲気。この絵が描かれた当時のフランスは、共和派と王朝派が争う政情不安に見舞われていました。人物の巧みな心理描写と中世写本を元にした舞台装置、光と影の演出によって、画家は歴史を見つめ直そうとする当時の社会の要請に応えようとしています。
(中村尚明)