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幕末に横浜で営業写真館をはじめた下岡蓮杖は、名刺判と呼ばれる小さなお土産用の写真を数多く撮影しました。とくに蓮杖が得意としたのは、この写真のような外国人向けの風俗写真です。着物を着た学生らしき少年たちが、キセルや本を手にして写されています。中心にひとり、左右に向かい合わせでふたりの人物を座らせる配置は、蓮杖がしばしば使った写真の構図です。右側の椅子に座る少年の首元には、首押さえ器具の棒らしきものが見られます。当時使われていた湿板写真しっぱんしゃしんという技法は、撮影に5秒から15秒ほどの時間を必要としました。そのため、撮影される人の頭が動かないよう、こうした器具で首を固定していたのです。(大澤紗蓉子)
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幕末に横浜で営業写真館をはじめた下岡蓮杖は、名刺判と呼ばれる小さなお土産用の写真を数多く撮影しました。とくに蓮杖が得意としたのは、この写真のような外国人向けの風俗写真です。着物を着た学生らしき少年たちが、キセルや本を手にして写されています。中心にひとり、左右に向かい合わせでふたりの人物を座らせる配置は、蓮杖がしばしば使った写真の構図です。右側の椅子に座る少年の首元には、首押さえ器具の棒らしきものが見られます。当時使われていた湿板写真という技法は、撮影に5秒から15秒ほどの時間を必要としました。そのため、撮影される人の頭が動かないよう、こうした器具で首を固定していたのです。
(大澤紗蓉子)