細雨 画像 拡大する

さいう細雨

作家名
イマムラ シコウ 今村 紫紅
作家英名
IMAMURA, Shiko 
生年
1880年
没年
1916年
制作年
1915年(大正4年) 
技法、材質、形状
絹本着色、軸 
縦(高) × 横(幅) × 奥行(厚)
126.5 x 50.0 cm 
受入種別
購入 
分野名
日本画 
収蔵品番号
82-JP-001 

斜面にかさなる樹々に、雨が降りそそいでいます。土や葉の色を溶かしこんだように、薄茶と緑にゆらめく細かな線。ところどころの幹に置かれたこいちゃが、雨のむこうに事物がけぶって見える様子を思わせます。線のヴェールがおおう画面から、しずかな雨音が響いてくるようです。
横山大観よこやまたいかん菱田春草ひしだしゅんそうは、線ではなく、色や墨のにじみによって、雨にゆらぐ大気を描写しようとしました。その実践にじかにふれ、彼らとともに新しい日本画をひらこうとしながらも、紫紅は絵画がひとつの方式にかたまってしまうことに頑として抵抗し、ふるい伝統にも敬意と愛着を抱きつづけました。ふたたび線として現れたこの絵の雨も、そんな画家の挑戦に数えられるでしょう。
(坂本恭子)

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